「太陽は海に沈む」



空が赤く世界を変えて、 君と分かち合った悲しみも苦しみも喜びも、 血肉となって僕を成長させる。 共に重なり合ったすべての時間に感謝して、 また来るであろう嵐とまた闘おう。 それは許すようだと悟るのです。

間違っては歪んでいく
失敗しては失っていく
望んだ結末だとは限らず
思い通りになるとは限らず
どうすることもできないものが存在すること
どうしようもないことが起きたりすること
僕等は悍ましい自由と
慎ましい不自由を手にしている

夜空に溶け込むように、 君と共に有する痛みも幸福も思い出も、 かけがえのない僕の一部だ。 言葉を捨てても笑い合えた時間に感謝して、 2度と訪れない時が進み続ける。 それを許すように受け入れるのです。

恨んだところで傷は浅くはならない
守りたいなら知らなければならない
いつかは必ず別れなければならない

自分の視野の限界が世界の限界ではない

知りたくなかったことも学ばなければならない

永遠は一瞬で
過去は瞬く間に去って行く












「Flower Rink」



機嫌を損ねたように
項垂れる花
水を変えても
栄養与えても
頭を垂れたまま下を向いて
もう、こちらを見ることはないと
拒絶を決め込んでいる


確かなことが何もなくなって
腐った水に沈んでゆく
耐えがたい静寂が引き連れる
濁った言葉が騒々しい
生れてきたまま意味のない
雨ざらしの真ん中で
日常だけが残される


絶望に暮れるように
項垂れる花
水を変えても
栄養与えても
下だけを見つめて他は見ない
もう、消えてしまいたいと言うように
全力で振り切って


あの日咲いた花のため
新しい花を咲かすため
治すように創り出す
褪せた世界に色を足すように

この傾斜の先へ
この暗闇を抜けて
この諦観の先へ
この催花雨を浴びて
この射光の先へ
この花の香りも
この花の色も忘れぬように












「We are looking at the scenery different under the same sky.」



芽吹いた芽を踏みつけて
夜道を足早に流浪する

心配は尽きない
理解できないと言われても
不遇な道しか選べなくて
ここから消えてしまいたいのに
少しでも認めてもらいたくて

芽生えた芽を刈りながら
経路を闇雲に流離う

失敗は尽きない
悩みはどうせ消えやしない
感傷だけで刃向いながら
満たされることなどないのに
キレイ事と理想論詰め込んで

僕は僕という自分を引きずりながら
君は君という自分を背に負いながら
無謀でも全うする
変わったり違ったりを受け入れながら
はみ出した先で成し遂げる

巻きつく蔦をむしり取って
狭まる小道を彷徨う

采配はとれない
自己弁護は誰も助けない
詭弁を吐き捨てながら
縋るように固持するイデア
息を潜めながら朝を待つ













「反射する光に闇が笑う、掲げた力に反発する涙。」



あの人の答えの出せない問に。 あの子の絶望の檻。 あの人の死と。 あの子の闇と。 彼女の葛藤と別れと決意。 彼の守り続ける秘密に。 あの人の苛立ちと悪の華。 あの子が嫉妬に狂う夜。 あの人が長い廊下の先を見る。

最低な気分で
僕は神に感謝する

縋るように繕って
私は逃げ出したい

足りないものは何なのか
君はデタラメに探し回る

修羅の朝が醜態を露わにする
わたしは何者にも成れない

どれぐらい捨て身になれたら

愛されたい

愛したい

どうしようもないぐらい間違いでいっぱいなのに。 どうしようもなく過去も未来も絡み合って混ざり合う。 溶け込んで目には映らない糸が繋ぎ合わせる線は、 あまりにも不条理な呪いに囚われている。












「あつらえの黒羊」



誰だっけ
何だっけ
やったっけ
いつだっけ
まぁ、いいか
まぁ、いいか?

心ここにあらず

錆びついていく感覚
嬉しい
悲しい
立ち竦んでいるうちに
距離は日増しに開いていく

投げつけられた塊を
お望み通り呑み込んでやる
喉もと過ぎれば何とやら
溶けだした心が何とやら
何でもない
何でもない?

跡形残らない

腐りかけていく感覚
世話ない
逃げない
全部避けては生きられない
狭い道を走り抜けていく

手放せない心残り
腹かかえて笑い転げる
酸いも甘いも何とやら
呆然自失で何とやら
何でもいい
何でもいい?

川だっけ
山だっけ
嫌いだっけ
違ったっけ
こんなもんだっけ
倖せって何だっけ?

捨ててしまえるさあっけなく
その時は笑顔を振りまいてやろうか
もう、2度と忘れられないように
もう、何も言えなくなるように












「五月晴れ、五月雨」



雨が降る
わたしが好きでも嫌いでも
わたしがどうこうできることでもなく
降るべくして降ってくる
時間も場所も関係ない
渇きを潤したり壊すように暴れたり
降るべくして降っている
わたしが傘を持っていてもいなくても
望んでも望まなくても
雨が降る
降らないことの方が不自然で
当たり前のように降っている
正しい人にも正しくない人にも
泣いている人にも笑っている人にも
臆病な人にも卑怯な人にも

雨が降るよ

天気予報が外れたとか
わたしのせいではない
雨が降る
雨は降るよ












「隣の食卓」



今だけは他には何も聞こえないように
日常に溶け込んでしまうような
くだらないあなたの話を聞きたい

今だけは他の何も見えないふりをして
ありふれて珍しくもないような
他愛もないあなたの話を聞きたい


きっとこのままは続かない
何ごともなかったように切り取られた時の中で
大丈夫だと希望的な言葉を口にして
あなたみたいに笑って見せる
それだけを覚えていて欲しいと勝手に思いながら


風が草木をを揺らし雨が窓を打つ
明日がどんな日になるかはわからない
あなたのいる未来にわたしがいなくても
そっと見ることができるだけでいい


きっといつまでも続くことなはい
何ごともなかったように上書きはできやしない
またねと言って晴れた空のように笑っている
その笑顔にどれだけ救われるか
いつか来る別れを覚悟しながらあなたを見送る


今だけは他には何も聞こえないように
日常に溶け込んでしまうような
くだらないあなたの話を聞きたい
あなたの未来にわたしがいてもいなくても
この目に映るだけでもいい
その笑顔にどれだけ救われるか
この先何があったとしても
何を失くしたとしても
生きていける

何か食べながらここで話をしよう
今だけは他の何も見えないふりをして
ありふれた珍しくもないような
他愛もないあなたの話を聞きたい












「羽ばたく鳥は、余韻を楽しめない」



君が生れた日を祝うのはいけないことなのだろうか。 その日1日を、君に捧げるのはいけないこと? 君に出会えたことを後悔しない。 君を未来へと連れて行きたいよ。 君からもらった手紙を大事に保管している。 たまに読み返したりする。 君と歩いた道を歩いたり、 君と見た風景を見たり、 君と聴いた音楽を聴く。 過去を引きずりながら後ろ歩きをしている。 いけないこと? 言いたかった言葉。 言えなかった言葉。 心の中に積もってゆく。 声に出して君の名を呼ぶ。 その存在を確かめるように。 みんなやめろって言うんだよ。
何でだ。
カリギュラ効果で逆効果じゃないか?

誰かの厚意に埋もれて眠る。
けど、追い風が欲しいわけじゃない
誰かの好意に付け込んで眠る
別に、ひとりが好きなわけじゃない
走り出したくなる
君に追いつきたくて
追いかける背中は
大きな翼を羽ばたかせるのに
現実は君を通り越していく

厭世的な側面に引っ張られて逃げ回ってるだけなんだろうか
君がもういないことを理由に仕立てあげて

君が死んだ日を悲しむのはいけないことなのだろうか。 その日1日を、君で埋め尽くされるのはいけないこと? 君に出会えたことを悔やんだりしない。 悲しみと孤独に纏わりつかれても、 耳に閉じ込めたキミの声を大事に保管している。 交わせる会話はいつも同じだけど、 君が写った写真を財布に入れて、 君との変化しない風景を追い続ける。 君だけは変わらない。 自分だけはいくら拒否しても変わっていく。 君との距離はひらいていく。 君を笑わせたい。 君と笑いたい。 自分の中の一部なのに。 どうしろと? 呪いだ傷だ枷だって縛られるなって言う。
何でだ。
ツァイガルニック効果とでもいいたいか

悲観的な側面に引っ張られて怖がってるだけなんだろうか
君のいない世界に倖せを見つけることを

美化された世界は美しさを増し
群れを離れた渡り鳥は舞い戻る













「暁の音、東雲の刻」



痛みは和らぐのに傷は消えたりしない
ぼくの一部になるだけだ

長い時間をかけて
思い出を掘り返したり
もしもな未来を想像したり
歳を重ねながら繰り返し
あの日のことを考えるように
あの日を通して自分を知る

取り返しのつかない過去が
今を生きろと言っている
やらないで後悔しない為にではない
やって後悔しない為に












「諦観の春は、櫻を啼かせる」



晴れた空に舞う雪のよう
風に揺れる度に慟哭する
変わってしまったはずの
あの日を連れ戻すように
埋め尽くすように
咲き乱れる

愛を喰らい
血肉となった想いが重い
ここから一歩も動けない
この季節は君のもの
深く根付いた気持ちは
強くいつまでも絡みつく


今、懐かしい今日のため
幽閉の奥から君を連れだって
今、変わらない今日のため
過去の君を拾い集めて手を取って


青を犯す春が泣き笑う
風に揺れる度に謳うよう
喉を締め上げながら淀む
あの日を引き戻すように
穴埋めするように
狂い咲く

愛を喰らい
冒された想いで痺れ
ここから一歩も動けない
この季節は君のもの
深く剥き出しの気持ちは
強くいまでも花開く





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諦観の春は、

櫻を啼かせる

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