「心臓」 04/01/01



赤く腫れ上がった其れを
鷲掴みで高笑い

鼓動でリズムとって
微弱な呼吸が謳う
ばらしたパーツを踏みつけて
再生を拒む叫び声

その口いっぱいに頬張った
脈打つ愁た果実





「ケイゾク」 04/02/14



目的など装飾にすぎず
意味など誰も知らない


定義は無粋
意義は不定
不埒に歪むリアル
歪んだ螺旋リズム

焼け焦げた祈りに
古ぼけた願いに
不完全で美しい確信

裂けた無限リンク

褪せない正しさを追う
焦る気持ちがスピード上げる
綻びるそれを繋ぐように
途切れかけたそれを繋ぐように







「無色」 04/03/08



醜いコレも
傷付いたコレも
汚れたソレも
腐りかけたソレも

潰れて悲鳴上げてるアレも

間違った僕も
不純に戦う僕も
失敗繰り返す僕も

器用に笑えない僕でも

不安で泣いたあの日に
塞いでで泣いたあの日に
歪んだ視界に広がった
君に救われ続ける

いつだって君が
僕を救い続けた







「反作用」 04/04/15



打ち込まれた杭を引き抜くためには
更なる痛みを伴うように
捻じれた場所を元に戻すには
潰れる過去を見捨てなければならない

ひとつの嘘を守る為には
多くの嘘を重ねていくように
この悲しい過ちを肯定する為には
沢山の大切を裏切らなければならない

真っ赤なリボンをぐるぐるに巻かれた
不格好なプレゼント
矢鱈キレイな箱には
律儀にカギまで掛けてある
「開けたら爆発します」のメッセージ付き

君を、僕を、受け止める為には
すべてを貫き通さなければならない







「希の終極」 04/05/11



押し込められて渦巻く
その矢鱈と濃厚な感情をください
できるならぎゅっとだきしめたい
冷えた鋭利なこころでも

失うことは容易く
崩れる音も聞こえぬうちに
響き渡る悲鳴より早く
目の前はガラクタの山ができあがる
穏やかな鈍い痛みと共に
泪は遅れて流れてくる

行き場なくして消えかけた
その無暗に無垢な感情をください
できるだけそっと抱き寄せたい
手遅れな救えないこころでも







「恋われた回路」 04/06/17


この手で持ち去った歪みと
この足が勝ち取った逃避と
この耳が聞き取った絶望と
この目が看取った感情たち

意識の端で貴方が笑う
気まぐれに浸蝕
魔が差した境界
意識下で装飾された自分が笑う

この手が汲み取った過去と
この足が踏み込んだ聖域と
この耳が拒絶した貴方の声
この耳が閉ざした世界たち

思考の片隅で貴方が笑う
確信犯犯す真心
核心繁殖する真夜中
思考低下で喰われた自分を笑う

笑う
笑う
笑う

笑え







「2進数」 04/07/28


単純化した統合の解に
縋るようにただ必死に
登りつめてゆく
そうすることが
正しいとでも言う様に
木に巻きつきながら
天を目指す蔦の様に
登りつめてゆく
そうすることが
当たり前だとでも言う様に

それは
哀しいことでも
間違いでもないけれど

納得できる仮説を武器に
意思を持った思考の様に
駆け抜けてゆく
そうすることで
人工的な価値を発生させようと
いつか創り上げた不都合な翼で
追いつけない速度を身に付けて
駆け抜けてゆく
そうすることで
幻想的な力を発揮させようと

それは
醜いことでも
愚かなことでもないけれど

ぼく等の身に付けたプロテクトが
どこまでも屈強でありたいと願うのと同じ







「サイレン」 04/08/14


撹乱
容量オーバー
追いつけないスピードで
デッドエンドが迫る
拡散
バラバラなら生きていけると
見え透いた嘘がスパーク
パーツの亡骸が沈黙


意思が作り上げたのか
意思が作り損ねたのか


笑えばスライスされる真意
泣けばクラッシュする真義







「メビウスの環」 04/09/03


ぼく等は
ひとつである筈もなく
混ざり合う度に思い知る
非融合体で在ることを

ぼく等は
ふたつで在るが為に
歪な力を駆使して守る
強く手を握るように

ぼく等は
ひとつである筈もなく
だから互いを求め合う
理由理論が生まれる前に







「candenza」 04/10/05


やさしさだけに溺れていたかった
すべての隙間を
やさしさだけで埋めたかった

傷痕を這うあなたの舌は心地よく
触れた指先に痺れる意識
溶け込んでひとつになりたかった

やわらかいものに包まれていたかった
すべての畏れに
やわらかい気持ちを重ねたかった


許してください







「触診」 04/11/07


恥ずかしがっている場合じゃない
その傷診せて舐めさせて
びょういん行っても治せない
探し続けてたとっこうやくも
どこにもありはしないんだよ


そのびょうき
僕じゃないと、駄目なんだから
僕じゃないと、治せないんだから


飛び火した感情に火傷しても
僕は君に触れたいのさ







「白」 04/12/31


突き通せない嘘
取り繕ったって嘆いたって
酷く醜い感情が隠せていない
あなたはそれでも
やさしさをくれるけれど

演技しきれない笑顔
我慢したって視線逸らしたって
矢鱈幼稚な甘えが隠せていない
あなたはそれでも
ぎゅっと抱いてくれるけれど


取り戻せないものばかりが
わたしを支配していくの


千切れない過去
舐められたって消毒したって
治らない傷が隠しきれない
あなたはそれでも
受け入れてくれるけれど


やわらかなものが
わたしを壊していくの




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